Japanische Klassiker mit Furigana
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あめ
雨
織田 作之助
Lesen Sie 雨 (あめ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.261 Zeichen · 44 Bildschirme
お君は紙のように白い豹一の顔を見たとたんに、おろおろと泣いた。円タクの助手をやったと聞かされ、それが自分のせいのように自責を感じ、
「みんな私が悪かったのや、私の軽はずみを嗤っとくれやす」
と、顔もよう見ないで言った。着物の端を引っぱり、ひっぱりして、うなだれているお君を見て、豹一は、
「何も母はんが悪いのんと違う。家出した僕が悪いのや。気を落したらあきまへん」
と慰め、女の生理の脆さが苦しいまでに同情された。
ガレーヂの二階で寝ていたころとはすっかり養生の状態が変った。お君は自分の命をすりへらしてもと、豹一の看病に夜も寝なかった。自分をつまらぬ者にきめていた豹一は、放浪の半年を振りかえってみて、そんな母親の愛情が身に余りすぎると思われ、涙脆く、すまない、すまないと合掌した。お君はもう笑い声を立てることもなかった。お君の関心が豹一にすっかり移ってしまったので、安二郎は豹一の存在を徳とし、豹一の病気を本能的に怖れていても公然とはいやな顔をしなかった。
しかし豹一は二月も寝ていなかった。絶えず何かの義務を自分に課していなければ気のすまぬ彼は、無為徒食の臥床生活がたまらなく情けなかった。