Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あめ

雨

織田 作之助

Lesen Sie 雨 (あめ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.421 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

不甲斐ない人間と笑って下さい。どうせ今まで何一つ立派な事もして来なかった体、死んでお詫びしたくとも、矢張り死ぬまで一どお眼に掛りたく。弱気な文句と自嘲しながら書いた。早速お君が飛んで来ると思ったのに、手紙が速達で来た。裏書が毛利君となって居り野瀬君でないのに、はっと胸がつかれた。行きたいけれど行けぬ。お前に会わす顔のない母です。恨んでくれるな。腑に落ち兼ねる手紙であった。何かあると心配だったが、それよりも先ず母は変ったとどきんと胸に来た。手紙と一足違いに、意外にも安二郎が迎えに来た。

お君は変った。まるで生れ変ってしまった三十六歳の一人の女に、安二郎はいきなり出喰わした感じであった。彼が今迄何一つ自分の自由にならないものはないと思っていた女が、今は如何にしても自由にすることの出来ない一つのものをもってしまった。お君は自分の心をもったのである。

豹一が家出した時お君は初めて自己というものに眼覚めた。そしてその自己は豹一に連る自己であった。豹ぼんが可哀そうだと思いませんか御寮さんが余りお人善しやからですと森田にいわれて、はっと眼が覚める想いだった。豹一の身の上を案ずることで自分の身の上を考えた。