Japanische Klassiker mit Furigana
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あめ
雨
織田 作之助
Lesen Sie 雨 (あめ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.421 Zeichen · 60 Bildschirme
お君は自分の総てを賭けるかの様に豹一の看病に熱中した。自分をつまらぬ者に決めていた彼は、放浪の四ヶ月を振りかえって見てそんな母の愛情が身に余りすぎると思い、涙脆く、済まない/\とひそかに合掌した。しかし、何も済まんことあれへん、この家でお前が遠慮気兼せんならんことはない、当り前やという母の言葉に、余りにも謙譲であった以前の母とまるで違ったものを感じ、眼を閉じて、そんな言葉を痛くきいていた。お君はもう笑い声を立てることもなくなっていた。お君の関心が豹一にすっかり移ってしまったので、豹一の病気を本能的に恐怖していた安二郎も公然とはいやな顔をしなかった。
しかし豹一は二月も寝ていなかった。絶えず自分の存在を何ものかで支えて居らねば気の済まない彼には、無為徒食の臥床生活がたまらなく情無かった。母親の愛情にのみ支えられて生きているのは、何か生の義務に反くと思うのだった。妓に裏切られた時に徹底的に傷ついた自尊心の悩みが彼を駆り立てた。いきなり床を出て働くといい出し、止められると、そのまゝ外に出た。生国魂神社の裏を抜け、坂道を降りて千日前に出た。珍しく霧の深い夜で、盛り場の灯が空に赤く染まっていた。