Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あめあがる

雨あがる

山本 周五郎

Lesen Sie 雨あがる (あめあがる) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.794 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

こう云いかけたとき、説教節の爺さんがとびあがって叫んだ。

「おう帰ったな夜鷹あま、あがって来い、飯を返してやるから此処へ来やあがれ」

中風ぎみで多少は舌がもつれるけれど、その声はすばらしく高く、眼はぎらぎらしていたし、躯ぜんたいが震えた。みんなは黙った。唄も三味線もぴたりと止めて、一斉に女のほうへ振向いた。

「人を盗人だなんてぬかしゃがって」爺さんは死にそうな声で続けた、「――てめえはなに様だ、よくもこの年寄のことを、さあ来やがれ、おらこのとおり食わずに取って置いたんだ、ざまあみやがれ、持ってけつかれ」

「まあ待って下さい、そう云わないで、まあとにかく」伊兵衛が立って爺さんをなだめた、「人には間違いということがありますからね、あの人も悲しいんですよ、人間はみんなお互いに悲しいんですから、もう勘弁して仲直りをしましょう」

彼はしどろもどろなことを云って、土間にいる女のほうへ呼びかけた。

「――貴女もどうぞ、なんでもないんですから、どうぞこっちへ来て坐って下さい、なにも有りませんけれど、みなさんと気持よくひと口やって下さい、すべてお互いなんですから」

「おいでなさいよ」