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Japanische Klassiker mit Furigana

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あめあがる

雨あがる

山本 周五郎

Lesen Sie 雨あがる (あめあがる) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.794 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

はという気がするんですよ」

「それではもう、お夕餉は召上らぬのでございますか」

おたよはさりげなく話をそらした。良人の気持にまきこまれまい、話だけで信用してはいけない。こう自分を抑えているようすが、伊兵衛にはいかにも哀れに思えるのであった。

翌日もやはり雨が降っていたが、彼は城下町までいって、出来合の裃や鼻紙袋や、扇子、足袋、履物などを買い、かなり金が余るので、妻のために釵を買った。

――おたよに物を買うなんて久方ぶりだなあ。

多少いい心もちになったが、道へ出て歩きだすと、例のどこか刺されでもしたような表情でぎゅっと眉をしかめた。

――冗談じゃない。

久方ぶりどころか、妻のために物を買うなどということは初めてである。結婚して八年半、彼女が実家から持って来た物は、すべて売ってしまった。松平家を退身するときには、まだ小さな道具類は持っていたが、それも放浪ちゅうに残らず売ってしまった。しかもこちらから買ってやった物は一つもないのである。彼はしょげて、溜息をついた。それから急に顔をあげ喧嘩でも売るようなぐあいに、「だがこんどは正夢ですからね」こう呟いて天を睨めつけた、「――使いの来るすぐまえに前兆もあり、あらゆる条件が揃ってるんだから、それにもうそろそろ、いくらなんでもそろそろ時節が来てもいい頃だよ」