Japanische Klassiker mit Furigana
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あめのやまぶき
雨の山吹
山本 周五郎
Lesen Sie 雨の山吹 (あめのやまぶき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.433 Zeichen · 33 Bildschirme
「――葛西のお家は温かく平和で、悲しみや不幸などは影ほどもございませんでした、兵庫兄さまもあなたも、不自由とか辛いとかいうことは、おそらくいちどもお感じになったことはございませんでしょう、……あのひとは御家来の出であり、みなしごでした、御両親のお情で、御家族と同じように育てて頂きましたけれど、家来の出であり、みなしごだということには変りはなかったのです」
「それは差別をつけたということか」
「いいえ決して、……御両親もあなた方も、本当によくして下さいました、差別などということは少しもなかったのですけれど、……叱られるとき、褒められるとき、あのひとの顔には、亡くなった二た親を想う色が、ありありと表われるのです」
しんじつの父ならこう叱って呉れるだろう、しんじつの母ならこう褒めて呉れるだろう。その父や母にはもう会えない、どんなことをしてももうその袖に触ることもできない。……そういう想いが、かなしいほどはっきり表われる、自分はそれを見ると、いつも胸が裂けそうに痛んだ。そして、どうしたらその悲しみをまぎらわしてやれるか、どう慰めてやったらいいかと、いつも幼い知恵をしぼったものである。