Japanische Klassiker mit Furigana
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あまよぞくし
雨夜続志
田中 貢太郎
Lesen Sie 雨夜続志 (あまよぞくし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.181 Zeichen · 11 Bildschirme
た。
式が終って冷酒とスルメが出て、百人に近い列席者は故人の追懐談に移ったので、山田はやっと伊沢と詞を交える機会を得たが、それでも最初に逢った時のような打ちとけた、わだかまりのない話をすることはできなかった。
政界の落伍者の集まりである浪人の多い席であるから、話の落ちて往く処は現代の政党の攻撃であった。山田は奮激の交っているそうした談話に興味を持たなかった。彼は巻煙草を点けようとしている伊沢に囁くように云った。
「君は、今日、帰りを急ぐかね」
「急ぎはしないよ、久しぶりで、例の牛肉でもつッつこうじゃないか」
「僕もそう思っているところだ、ゆっくり二人で飯を喫いながら話そうじゃないか」
「そうだ、そうしよう」
山田と伊沢は四時比になって寺を出た。晩春の空気が緩んで靄のような雨雲が、寺の門口にある新緑の梢に垂れさがっていた。
「また雨らしいね」
伊沢はまぶしそうな眼をして空を見た。
「そうだ、日が暮れたらやってくるね、でも、風に吹かれるよりは好いじゃないか」こう云いながら山田は伊沢を案内して往く処を考えていた。「君は日本料理が好いかね、それとも、鳥か牛肉が好いかね」