Japanische Klassiker mit Furigana
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あまよぞうし
雨夜草紙
田中 貢太郎
Lesen Sie 雨夜草紙 (あまよぞうし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.029 Zeichen · 14 Bildschirme
芥子の花を見せてやったさ、小供の心はすぐその花へ来た、小供は手を延べて執ろうとしたが執れない、そこで、
(春や、春や)
と、小間使を呼んだが、返事がないので、じれて来て、窓へ掻きあがろうとしたが、あがれない、
(春や、春や、春やってば)
と、今度は怒って呼んだが、それでも小間使はやって来ない、僕はその花を小供の眼から離さないように努力していたものさ、そこで、小供は小さな頭をひねって、その花を執る法を考えたが、やっと椅子のことを思いだして、室の中から、よっちょらよっちょらと引張って来て、窓際へ据え、その上にあがって執ろうとしたが、花が掴めないので、窓の敷居の上へ這いあがって、手を一ぱいに延べたので、そのまま下へ落ちてしまったさ、小供には気の毒だが、悪漢の悲しんでいた容が痛快だったね、
医師はその比から神経に故障が出来たのだ、ある夜、眼を覚してみると、並びの寝台に寝ているはずの細君の姿が見えないのだ、細君の行動に疑問を抱くようになっていた奴さんは、そっと室を出て、廊下を通って父親の居間になっている日本間の方へ往くと、廊下のとっつきの小座敷で人の気配がする