Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
エ、あなた。うそでしょう。」
「うそなものか。お前がいらないと言えば、もともと売ろうと思っていたんだから、処分してしまうよ。用箪笥の中に指環や何かがあるんだがね。それは親類のものに頒けてやる事になっているんだ。見るだけなら見てもかまわない。」
「ええ。どうか、拝見さして下さい。ほんとにお召物だけでもゆっくり拝見していたら一日かかりますわねエ。」
お千代はもう逆上せたように顔ばかりか眼の中までを赤くさせ、函の中から取出す指環や腕時計を、はめて見たり、抜いて見たりして、そのたびたびに深い吐息をついている。
「形見分けをするのは急がないでもいいんだからね。まだ二、三日、なくしさえしなければ篏めていてもかまわない。」
「ねえ。あなた。震災前だったらこの指環をはめて、三越の中でも歩いて見たいんだけれど、今はどこも行く処がありません。」
「ははははは。」と重吉は思わず笑ったが、しかしお千代があまりにも嬉しがる様子に、女というものはこんなものか知らと、物哀れなような気の毒なような変な心持がした。
昼飯をすますと直様お千代は派出婦会との契約を断るために出て行く。重吉は種子が生きている時分に雇入れた小女に暇をやる。