Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
驚いてもと来た横町に戻り、薄暗い電燈をたよりに、人家の軒下や潜門の表札に番地を見定めながら、やっとの事で目的の家へ行きついた。
潜門をあけると、付けてある鈴が勢好く鳴ったが、格子戸の内は真暗で、一、二度呼んでも出て来るものはなく、折から電話の鈴が家の内で鳴り出したのが聞えながら、やはり人声はしない。やや姑鳴り通しに鳴っていた電話の鈴がはたと止んだ時、二人は始めて奥の方から人の苦しみ唸るような声のするのを聞きつけて、顔を見合せた。
「おばさん、病気なのよ。誰もいないのか知ら。」
「金持だから殺されたんじゃないか。」
「あら、いや。おどかしちゃア。」と玉子は重吉に抱きついた。
「まア上って見よう。」と言ったが、重吉も何やら気味がわるくなって、土間に立ちすくみながら、そっと手を伸して障子を少し明けて見ると、家の内の電燈は一ツもついていないらしく、一際はっきり聞える唸き声は勝手に近い方から起るものらしく思われた。
「何だか、おれ一人じゃ上れないな。玉ちゃん、台処の方へ廻って見よう。ふだん女中を置けばいいんだのに。」
「お隣の家へそう言って、誰か来てもらったら。わたしほんとにいやだわ。