Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
おばアさんが死んだのはわたくしが三ツか四ツの時分でしたから、その顔もおぼえてはいません。しかし夜たった一人で真暗なところにいて、一つ処をじいっと見詰めていたり、また眠られない晩など、つかれて、うつらうつらとしている時などには、どうかすると、おばアさんの姿と、川のある田舎の景色がぼんやり見えるような心持のする事が時々あります。それは幻とでもいうのでしょう。懐しいといえばそれは震災前新栄町にいらしったおばさんとそしてあなた様の事です。わたくしの一生涯で一番幸福だったのはこの前も手紙で申上げましたように、それは新栄町のお家にいた時です。おばさんに手をひかれて明石町の河岸をあるいて蟹を取って遊んだことは一生忘れません。わたくしの一番幸福な思出は二ツとも水の流れているところです。そして懐しいと思う人はお二人ともおなくなりになりました。
わたくしは暫く母のところに同居することにいたしました。また変ったことがありましたら、お知らせをいたします。ではさようなら。
一九三二、二、十六日。 たみこ