Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきたたき
雪たたき
幸田 露伴
Lesen Sie 雪たたき (ゆきたたき) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.132 Zeichen · 56 Bildschirme
。主人は眼をしばたたいて、物言うなと制止したが、それを悟ってか悟らいでか、今度はくるり臙脂屋の方へ向って、初めて其面をまともに見、傲然として軽く会釈し、
「臙脂屋御主人と見受け申す。それがしは牢人丹下右膳。」
と名乗った。主人は有らずもがなに思ったらしいが、にッたりと無言。臙脂屋は涙を収めて福々爺に還り、叮寧に頭を下げて、
「堺、臙脂屋隠居にござりまする。故管領様御内、御同姓備前守様御身寄にござりますか、但しは南河内の……」
と皆まで云わせず、
「備前守弟であるわ。」
と誇らしげに云って、ハッと兀頭が復び下げられたのに、年若者だけ淡い満足を感じたか機嫌が好く、
「臙脂屋。」
と、今度ははや呼びすてである。然し厭味は無くて親しみはあった。
「ハ」
と、老人は若者の目を見た。若い者は無邪気だった。
「其方は何か知らぬが余程の宝物を木沢殿に所望致し居って、其願が聴かれぬので悩み居るのじゃナ。」
「ハ」
「一体何じゃ其宝物は。」
「…………」
「霊験ある仏体かなんぞか。」
「……ではござりませぬ。」
「宝剣か、玉か、唐渡りのものか。」
「でもござりませぬ。」
「我邦彼邦の古筆、名画の類でもあるか。