Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのよのはなし
雪の夜の話
Lesen Sie 雪の夜の話 (ゆきのよのはなし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.451 Zeichen · 9 Bildschirme
それを眺めると、私、胸がわるくなって。」と、おとなしいお嫂さんも、さすがに我慢できなかったのでしょう、拝むようにして兄さんにたのんで、とにかくそれだけは撤回させてもらいましたが、兄さんのお写真なんかを眺めていたら、猿面冠者みたいな赤ちゃんが生れるに違いない。兄さんは、あんな妙ちきりんな顔をしていて、それでもご自身では少しは美男子だと思っているのかしら。呆れたひとです。本当にお嫂さんはいま、おなかの赤ちゃんのために、この世で一ばん美しいものばかり眺めていたいと思っていらっしゃるのだ、きょうのこの雪景色を私の眼の底に写して、そうしてお嫂さんに見せてあげたら、お嫂さんはスルメなんかのお土産より、何倍も何十倍もよろこんで下さるに違いない。
私はスルメをあきらめてお家に帰る途々、できるだけ、どっさり周囲の美しい雪景色を眺めて、眼玉の底だけでなく、胸の底にまで、純白の美しい景色を宿した気持でお家へ帰り着くなり、
「お嫂さん、あたしの眼を見てよ、あたしの眼の底には、とっても美しい景色が一ぱい写っているのよ。」
「なあに? どうなさったの?」お嫂さんは笑いながら立って私の肩に手を置き、「おめめを、いったい、どうなさったの?」