Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ゆきま
雪間
久生 十蘭
Lesen Sie 雪間 (ゆきま) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.817 Zeichen · 24 Bildschirme
「笠原さん、伊沢です」
大柄のチェックのコートを着た笠原が尻下りの愛嬌のある八字眉をピクピクさせ、びっくりした子供のような眼つきで伊沢の顔を見かえした。
「伊沢さん……これはどうも」
「やられました」
笠原は両手で頭を抱えて、
「いやア、とんだ闇試合で……宮島だんまりの袈裟太郎があなただったとはおどろきました……なにしろ、この霧だから、あぶなくってしょうがない。御用邸の前へ車を置いてソロソロ歩いてくると、樹の下に人が立っている……わたしは臆病者で、怖いと、かあっとなると、年甲斐もないことをやりだすので困ります」
真面目になればなるほど剽軽に見えてくる。善良すぎる顔に愛想笑いをうかべてクドクドと言訳をしてから、
「なんだからって、なにもあんな手荒なことをしなくとも……いったい、どこをやったんだ」
と恐縮して立っている書生を叱りとばした。
さすがに照れくさいふうで、それとなく言いくるめてしまったが、正体もないようないまの暴れかたから推すと、たぶん憎い誰かと人ちがいしたというわけだったのだろう。その辺の機微は伊沢にも嚥みこめぬことはなかった。
「お騒がせして恐縮でした。