Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきざっき
雪雑記
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 雪雑記 (ゆきざっき) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.988 Zeichen · 20 Bildschirme
こんな雪はさっと払うとすぐ飛んでしまって、そのまま仕事を続けるのに何の邪魔にもならない。この土地では冬の六カ月の間気温が零下五度以上に昇ることは殆んどない。それで水の常態は固体であって、液体の水というのは例外的に見られるだけである。それで周囲は全く水の中に埋もれているはずなのに、物が濡れるという心配は先ずないのだから面白いと思った。千円の顕微鏡を雪の露天に放り出して置いても、乾いた布で拭うだけの注意をしていれば何の故障も起らないのである。余り大切にして一々暖い部屋へ持ち込んで掃除をしていたら、温度の急変と雪がとけるためにかえって色々な故障が起りやすい。こんな所ではずぼらをするに限るのであって、ただ注意すべきことは、水をこぼすことである。液体の水は此処では一種の危険品で、あやまってヴェランダの床の上などにこぼしたら、直ぐ凍りついてしまって、その後は危くて歩くことも出来ない始末になる。
結晶がとける心配はないのであるから、いくらでも良い写真がとれるはずであるが、実際は初めの中はなかなか巧く行かなかった。愚図々々している中に昇華作用で肝心の一番繊細な模様が消えてしまったり、つい一番大切な珍らしい結晶に息を吹きかけてしまったり、なかなかそう簡単には行かなかった。