Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くものわくころ

雲のわくころ

小川 未明

Lesen Sie 雲のわくころ (くものわくころ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 5.198 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

「いい景色ですね。」と、勇吉は、あたりを見まわしながら感歎しました。

「ほら、ごらん。あのがけのところに、やまゆりが咲いているから。」と、おじさんが、いったので、そのほうを仰ぐと、頂上から、ほそい一すじの滝がおちて、そのしぶきを、あびながら、白い花が咲いていました。

かれは、自分の家の庭に咲いている、やまゆりを思い出しました。

目を転じると、あぶなげな岩鼻に根をおろした、松の木がありました。同じ松ながら、あるものは、安全な平地に根をおろしているし、こうして、たえずおびやかされるものもある。どちらが、はたして幸福だろうかと考えたりしました。

たとえば、雪や、あらしと戦い、けっしてまけずに、昼は小鳥の声を聞き、夜は雲間の星と語るこの松を、どうして、不幸といいきれるだろうかとも思いました。

「勇ちゃん、おべんとうを食べようよ。」と、おじさんは、つつみを開きはじめました。ゆで卵や、やいた魚や、酒のびんなどが、出てきました。

おなかが、すいていたので、勇吉は夢中で食べていると、その間に、おじさんは、用意してきた、釣りざおのひもを解き、あゆを釣る準備をしました。