Japanische Klassiker mit Furigana
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くものこみち
雲の小径
久生 十蘭
Lesen Sie 雲の小径 (くものこみち) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.634 Zeichen · 33 Bildschirme
あなたに話してあげることがあるんだけど、そんなに邪魔にするなら、いわないことにするわ」
白川は、ふと気あたりがして、愛想よく、折れてでた。
「手荒なことをして悪かったね。あぶない加減の羽目になっているんだ。せめて、話ぐらいしましょうや。それは、どんな話?」
柚子は機嫌をなおして、
「霊媒の話……白川さん、あなた茨木という霊媒をさがしているんでしょう。いま、どこにいるか知ってる?」
「ずうっと、さがしているんだ。どこにいるか知っているなら、おしえてくれたまえ」
「茨木なら、妙義山の一本杉の近くの金洞舎ってところにいるわ」
「へんなことを聞くようだけど、どうして茨木なんか、知ってるんだい」
「それはそうだろうじゃ、ありませんの。お仲間ですもの」
「お仲間って?」
柚子は唇の端をひきさげると、意味ありげな眼づかいをしながら、
「あたし霊媒よ。ごぞんじなかった?」
と白々しい顔でいいかえした。
白川は、へえといったきり、あとの言葉も出ず、マジマジと柚子の顔を見つめた。
柚子が霊媒とは信じられないような話だが、でたらめをいっているようでもない。どこか煤っぽい、乾反ったような顔を見ていると、霊媒といっても、これ以上、霊媒らしいのはちょっとあるまいと思って、笑いたくなった。