Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くものこみち
雲の小径
久生 十蘭
Lesen Sie 雲の小径 (くものこみち) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.634 Zeichen · 33 Bildschirme
なんだか、あぶなっかしくて、それまで待っていられないような気がしてきたの」
「そうなったら、どんなにいいだろうと、おれも思うよ」
「望んでくだすっても、それはだめなの。柚子がなにもかもぶちまけてしまったから、隠さずにいいますが、あたしね、あなたといっしょに死ぬつもりだったのよ。お伺いしたとき、あまり機嫌がいいので、気の毒になって、やめてしまったけど、いまになって思うと、やはりあのときいっしょにお連れすればよかったと、悔んでいるんです。そうしていたら、調和のとれた、こんなにもおだやかな世界で、楽しく二人でやっていけたのにと思って……思いきって、こちらへいらしたら? そんなつまらないところに、未練なんかあるわけはないでしょう」
白川はタジタジになって、
「行けるものなら、すぐにも行きたいくらいだが、ちょっと、そこのところが、どうも」
と逃げだしにかかった。
香世子の霊は、怨みの滲みとおった陰気な口調で、
「こちらの世界のことを知らないから、そんなことをおっしゃるのよ。考えこんでいるようだけど、なにを、そんなに考えることがあるんです? 女のあたしがやったくらいのことを、あなたがやれないことはないでしょう」