Japanische Klassiker mit Furigana
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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
Lesen Sie 電気風呂の怪死事件 (でんきぶろのかいしじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.788 Zeichen · 34 Bildschirme
かねて目論んで置いた通り、彼は咄嗟の間にも順序を忘れずに、女装の鬘を被った。
そして再び由蔵の部屋へ降りて、由蔵の着衣を脱ぎ捨てると、彼は裸体のまま右手にはフィルムの入った黒い風呂敷を提げて、大胆にも梯子を伝って釜場に降りた。そして女湯の扉口へ行こうとした、ちょうどその時彼は其処で湯屋の女房とばったり鉢合せをしたのみか、ちょっと見咎められたのであった。さすがに、これには彼もぎょっとしたが、いかにも柔い嫋々しい彼の体は、充分に心の乱れた女房の眼を欺瞞することに成功した。
そして、彼は、素早く女湯の扉口から中へ入って、自分が殺したお照の屍体の側を過ぎて脱衣場へやって来た。それから先、お照の着衣をつけて、下駄を穿いて、何喰わぬ顔で見張りの警官にも怪しまれずに戸外へ逃走する迄は、難なく行われたことであった。
が、如何に緻密の計画と、巧妙の変装を以てしても、白昼の非常線を女装で突破することは可なりの冒険であった。
――樫田武平が捕縛されるに到ったのも、すべてこの最後の冒険に敗れたがためであった。
さて、かくして怖るべき「電気風呂」の怪死事件は、犯人の捕縛と共に一切闡明されるに到った。