Japanische Klassiker mit Furigana
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でんしゃていりゅうじょう
電車停留場
豊島 与志雄
Lesen Sie 電車停留場 (でんしゃていりゅうじょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.082 Zeichen · 31 Bildschirme
相手がどんな怪我をするか分りませんからね。」
高倉玄蔵はすっかり悄気かえった風で、黙って首垂れていた。安藤竜太郎はそれを眺め、次に眼を転じて、もう落付いてる沼田英吉の顔色を眺め、それから、静かな群集を一わたり見廻して、或る擽ったいような得意の念を覚えた。そして頭を軽く動かして、独り自分の胸にうなずいた。何をだかは彼自身にも分らなかったが、そうすることによって、漠然とした安逸な肯定感が胸にしっくり納ったのである。
そこで彼は一寸口髯の先をひねって、快い微笑を浮べながら、誰にともなく云った。
「じゃあ、これで失敬。」
然し彼の心は、「御機嫌よう」と云っていた。それを彼は胸に抱きしめて、一寸間を置いて、三四歩進みだした。
その時、何処からともなく可なり大きな石が飛んできて、身を反らし加減にしている彼の、右の鎖骨の所へはっしと中った。
「あっ!」と彼は思わず声を立てて、鎖骨の上を掌で押えた。
石を投ったのは、下宿屋の息子の今年十六歳になる、矢野浩一という不良少年だった。彼はその時、佐伯三千子という、やはり同年配の不良少女と連立っていた。
矢野浩一は以前から、佐伯三千子に心惹かされていた。