Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しもばしら

霜柱

山本 周五郎

Lesen Sie 霜柱 (しもばしら) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.328 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

――明くる朝、喜兵衛は家僕に向って、昨夜のことを口外するなと、固く命じて登城した。石沢に相談しようとも思わなかった。相談することはない、手段はたった一つなのだ。

喜兵衛は胸の中で怒りを育てた。怒りが少しでも軽くなったり、決心した気持がにぶったりすることをおそれ、絶えず義十郎の言葉や態度を、ことこまかに思い返していた。

「石沢の云ったことは本当だ」彼は下城しながら呟いた、「繁野さんは子の育てかたを後悔して、おれには必要以上にきびしくしたんだ、ぶきような人だな、正直すぎてぶきような人だ、育てかたで人間の性分がきまるなら、世の中に悪人なんか出やあしないのに、うん、おれを好いているというのも本当らしい、たぶんおれが、あいつのようになることを恐れたんだろう、いい人だな」

「あんないい父親を持ちながら」とまた彼は呟いた、「ひとでなしめ」と云って唾を吐いた、「きれいに片をつけてやるぞ」

その夜、喜兵衛は差替えの刀を出して、手入れをした。常の差料は使いたくなかった。犬を斬るよりけがらわしい、済んだらそのまま捨ててしまおう、と思っていた。――家僕に起こす時刻を告げ、彼はいつもより早く寝間へはいり、なにも考えずに熟睡した。