Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおいひも

青い紐

田中 貢太郎

Lesen Sie 青い紐 (あおいひも) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.592 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

「間借をしているのですよ、二階の屋根裏の穢い処よ」

「けっこうですな」

もう女は歩きだした。哲郎は何かたべ物でも買って往きたいと思いだしたが、さて何を買って好いやら、この夜更に何があるものやらちょと思いだせなかった。

「何か買って往きましょうか、たべる物でも」

女は顔をこちらに向けた。

「もう何も売ってやしませんわ、好いでしょう、家へ往きゃ何かつまらん物がありますから」

「そうですか」

哲郎は怪しい女の生活を思い出してキューラソー位はあるだろうと思った。彼はもう何も云わずに女に跟いて歩いた。

女はそこの横町を左へ曲った。むこうから待合の帰りらしい二人の壮い男が来たが、その二人の眼は哲郎の方へじろじろと注がれた。彼はきまりが悪かった。

「こっちよ」

女の小さな声がした。女は狭い路次を入った。哲郎は暗い処で転ばないようにと脚下に注意しいしい往った。左の方はトタン塀になって、右側に二階建の長屋らしい家の入口が二つ三つ見えた。

「黙ってついてらっしゃい」

女はそこの入口の雨戸をそうと開け、それから格子戸を開けて入った。哲郎も続いて入ったが、下の人に知れないようにと咳もしなかった。