Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのいきのあと

青春の息の痕

倉田 百三

Lesen Sie 青春の息の痕 (せいしゅんのいきのあと) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.338 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

広島の牧師の家にいるお絹さんは私には悲しい、せつない、諦めの手紙をよこしました。そして艶子へは「兄さんの心配を除くためにあきらめるといってやったけれど、私にはどうしてもあきらめられない、私は朝顔日記の深雪や、袖萩のような強い恋をする。その心は兄さんにも告げない、あなただけは知っていてくれ」という手紙をよこします。そのようにしていつまでも結婚せずにいてくれては私もまことにあわれにかつ責任を感じずにはいられません。

しかるに最近に、私は驚くべき音信に接しました。それは「H・Hを君の妻君にすることは可能である、私がほねをおりたい、至急帰郷せよ」という私の同郷の、札幌の農科大学を出た友人からの手紙なのです。三年昔の苦しい、血の出るような思い出が急に心に蘇りました。H・Hはたしかに結婚したはずです。してみれば去られて帰ったのでしょうか。なにしろ私は心が動揺しました。私はH・Hと結婚することが可能であっても、今は考えなければならない真実な問題がたくさんあってけっして軽率なことはする気はありません。三年の間に私の思想は、いうにいわれぬ淋しい無常な気持ちを植えつけられて、魂のあくがれははるかに遠いあなたに向かっています。