Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのいきのあと

青春の息の痕

倉田 百三

Lesen Sie 青春の息の痕 (せいしゅんのいきのあと) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.338 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

とを二、三日前に送り出しました。こちらで私のほか、数人読みました。まことにありがとうございました。私はこの頃毎日発熱して食事が進まないので物憂い心地で暮らしております。今日は根気がありませぬから著しいことだけ書き送ります。実は私は明日、お絹さんと家持ちを初めます。父母の許可も得ました。この二十日ばかりお絹さんは私の下宿に来て毎日看護してくれております。私は一生娶らず、お絹さんをそばに置いて、結婚でなく共棲を続ける気です。お互いの自由を縛らないで、隣人として相哀れみ、平和な、睦じい暮らし方をする気です。私はこの病弱なからだを優しいお絹さんの看護の手に委ねます。そして私は思想上の師として彼女を導き、キリストとマルタのごとくあるいはむしろ乳母と病みやすき若者とのごとくに慈愛と憐憫とで包むように愛し合いましょう。私はお絹さんの腕に抱かれて死ぬ気です。

お絹さんは年二十六、人生の悲哀をかみしめています。もはや色香もあせています。私への愛もどこかに母らしい気持ちも伴ないます。私は今の若さでもっと若い、美しい女との華やかな結婚を思わぬではありませんけれど、もはや恋のできる心ではなし、お絹さんがあわれであわれで振り捨てる気にはなれず、何もかも運命の催すところとあきらめて、一生涯の共棲と心を決めました。