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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおきのしゅっきょう

青木の出京

菊池 寛

Lesen Sie 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.513 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

そのうちに、青木の身辺から、消滅するものはその蔵書ばかりではなくなった。いつの間にか、彼の懐中時計は彼の机上から、影を隠していた。

そんなことが起っているうちに、だんだん雄吉と青木との二人を襲う災害が近づいてきていたことを、雄吉は少しも気づかなかった。雄吉は、青木のそうした放逸な生活も、天才的な性格にはありがちな放縦として、むしろ好意をもって彼を見守っていた。

三月の試験が間近に迫ってきた頃であった。雄吉が何かの用で少し遅れて、学校から帰ってきた。すると、よほど前から帰っていたらしい青木は、雄吉の目の前に、いきなりある小さい紙片を広げて見せた。

それは、金銭上の取引きなどには疎い雄吉にとっては、かなり珍しい小切手であった。しかも、雄吉ら学生にとってはかなりの大金だといってもいい百円という額面であった。雄吉は、妙な不安と興奮とをもって、青木の手中にあるその小切手を見つめた。

「どうしたのだ、その金は?」と、雄吉の声は、かなり上ずっていた。

「どうもしないさ」と、青木はいつものように、冷静であった。「矢部さんがね、僕の窮状に同情してくれて、翻訳の口を探してくれたのさ。