Japanische Klassiker mit Furigana
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あおきのしゅっきょう
青木の出京
菊池 寛
Lesen Sie 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.513 Zeichen · 43 Bildschirme
こう考えてくると、ロマンチックな感激と、センチメンタルな陶酔――それらのものを雄吉は、後年どれだけ後悔し、どれだけ憎んだかわからないが――とで、彼の心はいっぱいになった。――俺は、青木の罪を引き受けてやろう、そうすれば、青木も俺の犠牲的行動に感服して、その恐るべき盗癖から永久に救われるに違いないと雄吉は思った。むろん青木が帰宅して、彼が自分で責任を持って自首するといえばそれまでだが、ともかく、俺はひとまず青木の罪を引き受けて、この主人の部屋を出よう。主人は、俺の後影をどんなに蔑み卑しんで見送ろうとも、俺は一人の天才、一人の親友を救うという英雄的行動を、あえてなした勇士のごとき心持で、この部屋を出てやろう。雄吉はそう決心すると、不思議なほど冷静になって、
「どうも相済みませんでした」と、挨拶しながら主人の部屋を辞した。長い廊下が、目の前の闇に光っていた。雄吉は芝居をしているような心持であった。すべての理性が、脹れ返っている感情の片隅に小さく蹲っているような心持であった。その時に、雄吉の頭に、故郷に残している白髪の両親の顔が浮んだ。続いて、それを囲みながら、無邪気に遊び戯れている弟妹の顔が浮んだ。