Japanische Klassiker mit Furigana
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あおたははてなし
青田は果なし
宮本 百合子
Lesen Sie 青田は果なし (あおたははてなし) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.996 Zeichen · 4 Bildschirme
通ったのは、丁度田舎の盆の間であったから、田圃には全く人かげがなかった。そしてその広大な稲田の全面積は、農民の人々のよろこび、それを眺めてとおる私たちのうれしさという感じとは少しちがった、威圧するような気分を与えるのであった。
稲田は、堂々と、人間生活の労力の上に繁茂しているのに、折々汽車の窓から見えるこの辺の農家は、何と小さいだろう。しかも、稲田の広大な面積に比べて、数が少い。関東の農村のように、防風林をひかえて、ぐるりに畑や田をもった農家が散財しているという風でない。一かたまりずつ、稲田の間に木立をひかえた農家がつまっている。その家はどれも大きくない。盆地で暑いせいだろう、前庭に丸太で組んだヤグラのようなすずみ台をこしらえて、西陽のさす方へコモをたらして、そこで女が縫いものをしたり、子供がひるねしたりしていた。
秋田、山形辺は、食糧危機がひどくなってから、主食買い出しの全国的基地となって来ている。私の乗っている汽車にも、きっとそういう用事で出て来ている各地の旅客がいただろう。その人々は、この一望果てない青田を見て、そこに白く光った白米の粒々を想像し、価のつり上りを想像し、満足を感じていたかもしれない。