Japanische Klassiker mit Furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Lesen Sie 青銅の基督 (せいどうのキリスト) von 長与 善郎 (ながよよしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.703 Zeichen · 133 Bildschirme
「踏み絵にするといなとはとにかくとして、おれはあれをとにかく作ろう。作らずにはおけない。ただ作ることそれ自身のために。」
そして彼はもう安心して、その仕事に没頭していた。
彼はもう「あの人」のことも考えなかった。君香のことも忘れた。そして長い間寂しい闇の野中へ行き暮れ、不安にさ迷っていた者が、一道の光明――人家の明りをふと見つけて、ただもうひた走りにそこへ行きつくことのほかには何も考えない時のごとく、机にかかりきって、幾枚かの下図を引いた。
一歩も外出せず、不眠の夜をつづけた余念ない三日の没頭の後に下図はまず望みどおりできあがった。そして下図ができあがるやいなや彼は粘土のこね上げに取りかかった。そしてそのこね上げがすむと彼は青銅の鎔炉にかかっていた。
自分のどこからこんな無限な精力が出て来るのかと彼は自分でおどろいた。
彼の仕事が進むにつれて彼のところにそれを「拝見」に来る者が多くなった。それは彼の伯母が「お上からの仰せつけで」自分の甥が名誉ある仕事を「お引きうけ申し」ている事を近所にふれ回したからであった。むろん昼間はだれも彼の仕事部屋にはいることは厳禁されていた。