Japanische Klassiker mit Furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Lesen Sie 青銅の基督 (せいどうのキリスト) von 長与 善郎 (ながよよしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.703 Zeichen · 133 Bildschirme
「沢野忠庵」と裕佐はその名札を持って立ったまま、いぶかしげに首をひねった。「聞いたことのある名だが、どんな人ですね。」
「日本人じゃないのよ。異人さんでな。それもお前、まあ二目とは見られぬ恐ろしい顔のな。それがまた和服で、しかもお役人らしい羽織袴を着けてじゃ。」こういって伯母はため息をついた。
「そうですか。はは。」と裕佐はなんだか笑いたくなって笑った。「なんとか言づけていましたか。」
「また来るといってじゃった。――お前。」と伯母は声を低めていった。「あれは、ばてれんじゃなかろうか。」
「さあ。近ごろのばてれんと来たら非人にでも、おんぼうにでも平気で化けるから、あるいはそうかもしれないが。」裕佐はもっともらしく頸をかしげていった。「しかしそれにしても変ですね。僕に用があるなんて。ことによると天狗かな。」
天狗とは当時迷信家たちの間に悪魔とか、シナでいう「鬼」とかいう意味に使われていた。
「そうよ! ほんに!」伯母は思わず恐怖のまじめさをもっていった。「ああなんといういやなものが舞い込んだもんじゃろうか。あたしはもう恐ろしゅうて。恐ろしゅうて。あの仁がばてれんの化けた者じゃとしても、お上のお役人じゃとしても、どっちにしてもお前の身によいことはない気がするでな。