Japanische Klassiker mit Furigana
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『しずかなるあい』と『しょこくのてんにょ』
『静かなる愛』と『諸国の天女』
宮本 百合子
Lesen Sie 『静かなる愛』と『諸国の天女』 (『しずかなるあい』と『しょこくのてんにょ』) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.495 Zeichen · 13 Bildschirme
人々は、結婚について語るとき、相方とも健康でなければならない、という。私たちは自然な理解でそれはそうだと思う。どちらが弱くても不幸だから、とおだやかにうけがって考える。けれどもそのうけがいは平静でやや実感から遠くあって、実際の結婚の営みのなかで永い病と闘っている妻たちの不安、気くばり、恐怖とはまだまだはなれたものである。どんな妻も、今日の社会の常識にとりかこまれた現実の中では、自分が永い病をするよりは、良人の看護をする方がまだましだと思っているだろうと思う。それは切なく辛いにしろ、自分が病んでいるのでなければ、自分の堅忍や努力の力で、互の愛を守れる可能もある。相当愛に確信のある夫婦でも妻の方が永年の病にかかったとしたら、妻であるその人に向けられている劬り、憐憫、愛にかわりはないとして、良人のその態度に妻は決して赤子のように抱かれきってはいられまい。心理的にどこかで我が身をひいて考える。その心持には、病人がはたの親切をへりくだった感謝でうけるというのとは、おのずからちがって複雑なニュアンスがこもっているのである。
思えば、妻は健かでなければならぬという常識の中に、何と深く動かしがたく、家というものにおける女の歴史的な立場とでもいうようなものがほのめかされているだろう。