Japanische Klassiker mit Furigana
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ひぼんなるぼんじん
非凡なる凡人
国木田 独歩
Lesen Sie 非凡なる凡人 (ひぼんなるぼんじん) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.449 Zeichen · 17 Bildschirme
彼は例のごとくいとも快活に胸臆を開いて語った。僕の問うがまにまに上京後の彼の生活をば、恥もせず、誇りもせず、平易に、率直に、詳しく話して聞かした。
彼ほど虚栄心のすくない男は珍らしい。その境遇に処し、その信ずるところを行なうて、それで満足し安心し、そして勉励している。彼はけっして自分と他人とを比較しない。自分は自分だけのことをなして、運命に安んじて、そして運命を開拓しつつ進んでゆく。
一別以来、正作のなしたことを聞くとじつにこのとおりである。僕は聞いているうちにもますます彼を尊敬する念を禁じえなかった。
彼は計画どおり三カ月の糧を蓄えて上京したけれども、坐してこれを食らう男ではなかった。
何がなおもしろい職を得たいものと、まず東京じゅうを足に任かして遍巡り歩いた。そして思いついたのは新聞売りと砂書き。九段の公園で砂書きの翁を見て、彼はただちにこれともの語り、事情を明して弟子入りを頼み、それより二三日の間稽古をして、間もなく大道のかたわらに坐り、一銭、五厘、時には二銭を投げてもらってでたらめを書き、いくらかずつの収入を得た。
ある日、彼は客のなきままに、自分で勝手なことを書いては消し、ワット、ステブンソン、などいう名を書いていると、八歳ばかりの男児を連れた衣装のよい婦人が前に立った。