Japanische Klassiker mit Furigana
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ひじょうのあい
非情の愛
豊島 与志雄
Lesen Sie 非情の愛 (ひじょうのあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.831 Zeichen · 24 Bildschirme
日本の川蟹もそれと全く同種のもので、ただ、少しく形が小さく、少しく肉が硬く、少しく脂が足りないだけに過ぎない。老酒のないのは淋しいが、それは上等のカストリ焼酎で補うとして、彼はきっと喜ぶに違いない。そう考えて、私は店主の大田梧郎に相談してみた。大田は首をひねったが、店で働いてる戸村直治が、千葉県に知り合いがあり、川蟹のことを請合ってくれた。そこで私は、吾々の酒場で日本のドザハを食べるんだと、秦啓源を誘ったところが、果して彼はたいへん喜んで、当日には紹興酒の二瓶をかかえて現われた。――それが、「五郎」に於ける川蟹の由来なのである。しかもこの蟹、数量が少いし、寒さに向うと殆んど獲れなくなるので、一般の客にはもう出さなくなり、吾々仲間の専用となってしまった。
その上、蟹については、井野格三郎老人の弁慶蟹の話も思い出された。――弁慶蟹をつかまえ、怒らせておいて、その手にマッチの棒をはさませ、火をつけるのである。火はだんだん燃えてゆく。蟹はそのマッチの棒を怒りに任せてはさんだまま、火が手元に近づいても放さず、熱くなっても捨てることを知らず、ただ手を打ち振るだけで、遂に火傷する段になって、マッチをはさんでる手を根本からぼろりと自らもぎ落して、逃げてゆく……。