Japanische Klassiker mit Furigana
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かばんのかい
革鞄の怪
泉 鏡花
Lesen Sie 革鞄の怪 (かばんのかい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.394 Zeichen · 21 Bildschirme
自白した罪人はここに居ります。遁も隠れもしませんから、憚りながら、御萱堂とお見受け申します年配の御婦人は、私の前をお離れになって、お引添いの上。傷心した、かよわい令嬢の、背を抱く御介抱が願いたい。」
一室は悉く目を注いだ、が、淑女は崩折れもせず、柔な褄はずれの、彩ある横縦の微線さえ、ただ美しく玉に刻まれたもののようである。
ひとりかの男のみ、堅く突立って、頬を傾げて、女を見返ることさえ得しない。
赤ら顔も足も動かさなかった。
「あまつさえ、乱暴とも狼藉とも申しようのない、未練と、執着と、愚癡と、卑劣と、悪趣と、怨念と、なおその上にほとんど狂乱だと申しました。
外ではありません。それの革鞄の鍵を棄てた事です。私は、この、この窓から遥に巽の天に雪を銀線のごとく刺繍した、あの、遠山の頂を望んで投げたのです。……私は目を瞑った、ほとんだ気が狂ったのだとお察しを願いたい。
為業は狂人です、狂人は御覧のごとく、浅間しい人間の区々たる一個の私です。
が、鍵は宇宙が奪いました、これは永遠に捜せますまい。発見せますまい、決して帰らない、戻りますまい。
小刀をお持ちの方は革鞄をお破り下さい。