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Japanische Klassiker mit Furigana

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かばんらしくないかばん

鞄らしくない鞄

海野 十三

Lesen Sie 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.653 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

ね、いいでしょう」

そういって臼井は、十万円の紙幣束を三人の方へ差出した。三人は鶏のようにびっくりして、隅へ固まって相談をはじめた。

やがて相談がまとまったと見え、三人は臼井の方へ戻って来た。川北老が代表者となって折衝の任に就くものと見えた。果然彼は発言した。

「とりあえずわしら留守番の者が相談ぶったんですが、その大金はお預りしますまい。その代り品物の何と何とを持って行かれるか、その品目を書いた借用証を一札入れていって下せえ。小山さんもそういわっしゃるだ」

臼井の眼が小山すみれ嬢の方へ動いた。すみれ嬢は猫のように大きな目をじっと据えて、臼井の顔を睨みかえした。

「承知しました。そうしましょう」臼井は目賀野の信号によって、そのように返事をした。それから小机の上に紙を延べて借用証を書き始めたが、その品目を書くについてトランクをあける必要にぶつかった。開いて中を見せれば、すみれ嬢の大きい目は臼井の脳髄を突き刺してしまうだろう。彼は、そうした。

「ええー、よくごらん下さい」

すみれ嬢は、トランクの中を嘗めんばかりにして入念に改めた。彼女が用を終って顔をあげたのを見ると、その面にはほっとした色があった。