Japanische Klassiker mit Furigana
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かばんらしくないかばん
鞄らしくない鞄
海野 十三
Lesen Sie 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.653 Zeichen · 73 Bildschirme
「はあ」
臼井は書類棚のところへ行った。と、彼の脳天にはげしい一撃が加わって、彼は意識を失ってしまった。
目賀野は、ほっと一息ついて、手にしていた丸い盆を、隅の卓子へかえした。それから隣室へ通ずる扉を開いて、大声で呼んだ。すると、いつぞやの若い男と女とが、奥からとび出して来た。それを見ると、目賀野はいった。
「一時この邸から退去せにゃならなくなった。千田はこの臼井を担いで霊岸橋へ行って、辰馬丸に乗込んですぐ出てくれ。行先は石の巻だ、草枝はもんぺをはいてわしといっしょに来てくれ。松戸へ出てから、すこし歩くことにするからなあ」
そういっているとき、天井に取付けてある高声器が、がらがらと雑音を出してから、ひとりで喋りだした。
「警視庁の自動車が門前に停りました。三人の紳士が今玄関に立ってベルを押しています。一番えらそうな紳士は鼠色のオーバーを着た大男です……」
そこまで聞くと、目賀野は万事を悟った。
「捜査課長の田鍋が来たんだ。さすがに早く気がついたな。さあ千田、今のうちに地下道を通って長屋から出て行け。草枝は裏から抜け出ろ。そして松戸の駅前の丸留の家で待っているんだ。