Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かばんらしくないかばん

鞄らしくない鞄

海野 十三

Lesen Sie 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.653 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

そのトランクは翌朝両人が目ざめてみると、たしかにそこに置いた筈の夜具の裾のところには見当らず、両人は目を皿にして部屋中を匐い廻ったがどこにもなく、そこで両人互いに相手を邪推して立廻りへと移行したが、両人が相手の顔を捻じて天井へ向けたときに、そこにぴったり吸いついている前夜のトランクを両人が同時に発見した。そこで両人は再び協力し、誰がトランクを天井の桟に釘をうってそれへ引掛けたかを怪しみながら、机に椅子を積み重ね、箒や蝙蝠傘やノックバットまで持ちだしてそのトランクを下ろそうと試みた。そのうちにどうした拍子かトランクの蓋が開いて、その中身が五彩の滝となって下に落ちて来た。両人がそれにとびついて、かき集めている間に、トランクは明いた窓から黙って外へ飛び出していった。

トランクの後を追って書きつけていると際限がないので、しばらくトランクから離れた話をしようと思う。

帆村探偵登場

冬日の暖くさしこんだ硝子窓の下に、田鍋捜査課長の机があった。課長と相対しているのは、長髪のてっぺんから地肌がすこし覗いている中年の長身の紳士だった。無髭無髯の顔に、細い黒縁の眼鏡をかけ、脣が横に長いのを特徴の、有名なる私立探偵帆村荘六だった。