Japanische Klassiker mit Furigana
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すまでらふきん
須磨寺附近
山本 周五郎
Lesen Sie 須磨寺附近 (すまでらふきん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.396 Zeichen · 21 Bildschirme
康子の瞳が情的に動いた、清三は頬の熱くなるのを覚えた、それから青木が流れの端の石に腰かけて待合せているところまで、二人とも事件を待つような気持で黙って歩いた、青木は澄んだ秋の山の空気の中へ、煙草の烟を吹き散らせていた。
時間がたつに連れて、清三の胸の中では、康子の働きかけてくる情的な瞳が領域を拡めていった。それが清三にとってはひじょうに幸福だった、で清三はことさらにその中へ溺れていこうとした、ときおり理性がその気持を引戻そうとするが、結局引戻すことはできなかった。
「君は嫂をどう思うか」
青木が清三にそう質問したことがある。
「つまり性質だよ、たいていの人間は規範のなかに篏めることができる、男でもそうだがことに女はそうだ、しかしどうも俺には嫂ばかりは分からん」
清三は自分の胸にある思いをそのまま青木に云われたような気がした、だからそのとき、清三は、もちろん自分にも分からんと答えただけである。
夕飯の膳に三人の顔が合ったとき、こんな問答の交されたことがあった。
「いったい、結婚はどういうふうに考えるべきものだろう」
青木が云った。
「幸福なものとして幸福に没頭すれば破綻を見るし、平凡なものとして平凡にやれば人間が老いるし――」