Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.621 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

……江戸のうちでお上の袖がこいの中につつまれて安穏に世を忍べるところといえば、まず、さしずめ牢屋敷。……が、このほうはよっぽど罪を犯さなくてはかなわない。なにとぞお願い申しますと言ったって入れてくれない。……ところで、石川島の人足寄場のほうは、ちょっと上役人をいためつけ、おれは江戸無宿だからどうともままにしてくれと言ってひっくりかえれば、即座に島へぶちこんで、けっこうな手仕事をさずけてくれる。入ったが最後なかなか出られないが、そのかわり、ここならばまずぜったいお上の風も吹きつけない。灯台もと暗しとはこのこと。伊豆の田浦岬の二十四五里の沖あいで行きがた知れずになった十一人の片われが、まさか石川島の人足寄場にいるとは思わない。その気にさえなれば、こんな安気なところはない。いわんや、恋女房が住んでいる家とは堀ひとつへだてた背中あわせ。あなたに惚れぬいている弥之助さんとしちゃア、こんな楽しい隠れ場は探そうたってほかにはありはしない。……どうです、当りましたか」

お静は顔を染めて、

「でも、まあ、どうして、そんなことまで」

「それは積っても知れましょう。聞けば、あなたの家は人足寄場のすぐ塀外。