Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.621 Zeichen · 25 Bildschirme
それにしても、どういう火急な事情が起って、こうまで遽だしく船から去って行かなければならなかったか? 前後の事情からおすと二十三人が船を去ったのは、鰹船が行きあう四半刻にも足らぬ以前のことだったと思われる。
三崎丸の二十三人がほかの船に乗りうつったと考えられぬこともないが、見とおしのきく海の上、そんなら鰹船のほうではチラとでもその船の帆影を見かけていなければならぬはず。ところで、まるっきりそんなものは見ていなかった。
どういう理由かで、三崎丸の二十三人は伊豆田浦岬の地かた二十五六里の沖あいで煙のように消えてしまった。それとも、乗組みがひとり残らず、とつぜん発狂してじぶんで海へ飛びこんでしまったのか?
――これが、文久二年四月十七日、相模灘に起った遠島御用船、三崎丸の事件。
百万遍
深川千歳町の水戸さまの石置場から始まって新大橋のたもとまで、三丁の川岸っぷちにそって大小十四棟の御船蔵が建ちならんでいる。
地つづきに植溜があって、ちょうどそこへ通りかかったのは北町奉行所の例繰方、仙波阿古十郎とお手付、ひょろりの松五郎。
この仙波、顔つきは人なみだが、顎だけはひどく桁はずれ。