Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 26 Bildschirme
奔放な気宇がうかがわれて、なんともいえぬような味がある」
ボッテリした、顎化けの化けの所以であるところの、人間ばなれのした馬鹿長い顎をふりながら、ひとりで悦に入って、
「それにしても、緋色繻珍の褥の上におさまって、横柄な声で、おいおい、というと、酒肴の好尚は望みのまま、打てば響くといった工合に、なんなりと御下命に応ずるというのは、おもしろい。……近来、叔父の煽てもきかなくなって、久しく物のかたちをしたのも咽喉を通さなかった。いずれ、なにか変った趣向があるのだろうが、ちょうどいい折だから、かまわず出かけて行って遠慮なしに御馳走にあずかることにしよう」
馬鹿な顔で、陽ざしを見あげているとき、すぐそばの瑞雲寺の刻の鐘、ゴーン。
「いま鳴る鐘は七ツ半。……定刻には、まだ、たっぷり一刻半はある。これは、どうも、じれってえの」
数寄屋
四谷左門町。路をへだてて右どなりが戸沢主計頭の上屋敷。源氏塀の西がわについて行くと、なるほど、欅の裏門がある。猿を引いて潜戸をおすと、これが、スッとひらく。御影石だたみの路を十間ばかりも行くと、冠木門があって、そこから中庭になる。