Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.984 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

おもんが自分のたらした血を気にして草履で踏みけすはずもなし、そういう苦しい中でわざわざ土扉をしめるようなそんな丁寧なことをするわけもない。これはどうも言いのがれする道はなさそうだ。……ねえ、藤五郎さん、お前さんは名の書いてあったのは土扉の白壁だけだと思っていたろうが、もう一カ所ほかにもあったんだ。……土蔵の額縁の黒壁にもやはり同じことが書いてあったんだが、このほうは暗くて気がつかなかった。……おもんもなかなか抜け目がない。白壁のほうだけだとこっそり削られてしまうかも知れないと思ったので、それでそんなことをしておいたンだ。それもただのところじゃない。朝陽があたるとその字が光って見えるように東むきのがわへ書いておいた」

そう言って、懐中から『とうごらう』と赤く滲んだ半紙を取りだし、

「土蔵へ入ろうとして、ヒョイと見ると、黒壁になにか字が書いてあるがはっきりわからない。それで半紙を濡らしてその上へ貼りつけて見ると、こういう奇妙なものが滲み出したんだ」

藤五郎が切迫つまった眼つきでなにか言いかけるのを、ひょろ松は押えて、

「おもんに吉兵衛を殺させたというのは、どういう筋から推すかというと、お前さんとおもんが同腹だったという証拠があるからなンだ。