Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.984 Zeichen · 28 Bildschirme
夕方の七ツ半にはもう売り切れになるという有様なので、建てたばかりのやつをまた建増ししなければならなくなった。
ところが『大清』の南は濠で建増そうにもひろげようにもどうすることも出来ない。そこで、眼をつけたのが北どなりの京屋の地面。ここを買いつぶしてひろげると、こっちは角店になるわけで、いっそう店の格がつく。
商売もあんまり繁昌していないふうだし、大したいざこざを言わずに承知するだろうと多寡をくくって話を持ちかけて見ると、それが案外の強腰で、いくら金を積んでもこの地面は譲られぬという挨拶。
坪二両に立退料三百両というところまで競りあげたが、それでも頭を竪には振らない。
気の小さなくせに偏屈なところがあって、商売がうまくゆかないせいもあろうが、家内のおもんにもめったに笑い顔も見せない。陰気な顔をして一日じゅう藍甕のまわりでうろうろしている。
こちらは火が消えたようになっているのに引きかえ、となりは豪勢な繁昌ぶり、これが癇にさわるので、うんと言わないのは、ひとつはそのせいもある。
『大清』の藤五郎のほうでは、いよいよ金ずくではいけないと見てとると、こんどは戦法を変えて巧妙な追出しにかかった。