Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.550 Zeichen · 27 Bildschirme
毒流し
秋葉の原の火避地。
原の入口に大きな樗の樹があって、暑い日ざかりはここが二人の休憩場になっている。
朝がけに両国まで客を送って行って、これでこの日の商売はおしまい。どっちももう働かないつもり。通りがかった枇杷葉湯を呼びとめて、しごくのんびりした顔で湯気を吹いてるところへ、息せき切って駈けて来たのが、北町奉行所支配のお手先、神田屋の松五郎。
鷲づかみにした芥子玉の手拭いでグイグイと頸すじの汗を拭いながら、
「ここへさえ来りゃ、かならずひっ捕まえることが出来ると見こんですっ飛んで来たんですが、それにしても、まア、うまく捕まえた」
「おい、おい、ひと聞きの悪いことを言うな。黒のパッチに目明し草履、だれが見たって御用聞と知れるのに、捕まえたの追いこんだの、枇杷葉湯がびっくりして逃げ腰になってるじゃねえか。おりゃア、お前にひっ捕まえられるような悪いことをした覚えはねえぜ、いい加減にしておけ」
ひょろ松は、うへえ、と頭へ手をやって、
「こりゃ、どうも失礼。口癖になってるもんだから、つい……これはとど助さん、今日は」
「あんたはいつも裾から火がついたように駈けずりまわっているが、よくすり切れんことですのう」