Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.406 Zeichen · 27 Bildschirme
「阿古十郎さんもとど助さんも、そとで稼ぐ商売だからもうご存じかも知れませんが。……阿古十郎さん、万和の金の簪の話をお聴きになりましたか」
「万和といえば深川木場の大物持ち。吉原で馬鹿な遊びをするから奈良茂のほうがよく知れているが、金のあるだんになったら、万屋和助は奈良茂の十層倍、茂森町三町四方をそっくり自分の屋敷にし、堀に浮かした材木をぬかして五十万両は動かぬという話。姉娘のお梅というのが叔父の娘の花世の友達で、ちょくちょく金助町へ遊びに来ていたから顔は一二度見たことがある。……それで、万和の金の簪というのは、いったいどんな話だ」
ひょろ松は、なんということはなく坐りなおして、
「それがどうも、じつに奇妙。そのまま怪談にでもなりそうな筋なンです。時雨がかったこんな薄ら寒い晩にはもってこいという話。……明日から月代りで今日一日は暇。ご存じなかったら、ひとつ、お話しましょうか」
「ひどく改まったな。が、落のあるのはごめんだぜ」
ひょろ松は、膝をにじり出して、
「まア、まぜっかえさずにお聴きなさい。……話はすこし古くなるンですが、今からちょうど十五年前。おなじ木場に山崎屋金右衛門という材木問屋。