Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.406 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

見る眼にもいじらしいほどだったというンですが、これがほんとうの恋病とでもいうンでしょう、見る影もなく痩せほそって今年の五月十七日に影のようになって死んでしまった。母親は後妻だからいいが万和の歎きはまた格別。しかし、なにごとも前世の約束ごと。これも因縁だとあきらめ、いよいよ棺に納めるとき、鳳凰の金簪を取りだしてお梅の身体を撫で、これはお前の聟の家のものだから、せめてこれだけでも持ってゆけといってその金簪を棺の中に入れ、浄心寺の墓地へ葬りました」

アコ長は、柄になく悄っとして、

「あの娘が死んでしまったのか。優しそうないい娘だったが」

「……ところが、お梅が死んだ二タ月目、思いがけなく前触れもなしに金三郎が帰ってきた。……父が唐で長々の患い。それやこれやでお便りすることもかなわず申訳なかったという挨拶。せめてもう二タ月早かったらと言ってもそれは愚痴。万和が涙片手にありようを話すと金三郎は位牌を手のなかに抱き、この長い歳月、日本へ帰ってあなたと夫婦になるのを楽しみに唐三界で骨身を砕いていたものを、なぜもうすこし生きていてはくださらなかった、と男泣きに泣いたというンです。