Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.904 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

三津五郎は、膝に手をおいて聴いていたが、顎十郎がいいおわると、静かに顔をあげて、

「とんだお褒めで痛み入ります。嘘ではあれ、その言葉にたいしてはお礼を申しのべますが、きょうお出かけになりましたのは、わたくしをお褒めになるためではございますまい」

と言って、キッパリとした顔つきになり、

「お先走ったことを申しあげるようですが、こうして揃ってお出かけになったのは、この三津五郎をお手当なさろうため」

ひょろ松は、グイと膝をすすめて、

「そう言い出すからには、なにか身におぼえがあるというわけか。さもなけりゃア、すこし察しがよすぎるようだな」

三津五郎は手をあげて、

「ちょっとお待ちくださいませ。身に覚えはありませんが、わたくしの身に濡衣がかかるわけは存じております。……千住三丁目の大桝屋さんはわたしの永のご贔屓。そのお娘御のお文さんというのが、鮨売に来たわたくしから印物をもらうんだと言って駈けだしたまま、今もって行きがた知れずになっている。たぶんお前の仕業だろうというので大桝屋の旦那が隠れるようにしてこっそりわたくしのところへやっておいでになりまして、これをおもて立てれば自分一家の恥だから、そうと気がついていたがわざと手先の耳にも入れずにおいた。