Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme
「なにもそう反っくり返って驚くほどのことはあるまい。ここ五日ばかりあぶれつづきで弱っていたところだ。いい折だからお前を乗せてやる」
「どうしまして、そんなもったいねえことが……」
と言いながら、ヒョイとかたわらにおいてある駕籠を見ると、これがひどい。
吉原土手で辻斬にあったやつがお鉄漿溝の中へころげこんで、そこに三年三月も浸っていたというようなおんぼろ駕籠。
垂れはケシ飛び凭竹は干割れ、底がぬけかかったのを荒削りの松板を釘でぶっつけてある。この駕籠で七里半の道をゆられて行ったら、まず命がもたない。
ひょろ松は、恐れをなし、
「うわッ、こいつアいけねえ。この駕籠じゃどうも……」
とど助は、花和尚魯智深のような大眼玉を剥いて、腕まくりをしながらアコ長のほうへ振りかえり、
「こやつは不とどきな奴ですな。むかしの主人が食の料をうるために乗ってくれとことをわけてたのんでおるのに、素見かすというのは怪しからん。こういう不人情なやつは、脛でもたたき折って、否応なしに駕籠の中へドシこんでしまわッせ。拙者もお手つだいするけン」
ひょろ松は、手をあわせて、
「乗ります、乗ります。