Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme
どちらがわの親類にも異存がなく、七日ほど前に結納をとりかわしたのですが、ところで、大国魂神社の神主、猿渡平間の甥で、桜場清六という勤番くずれ。大酒呑みの暴れ者で、府中じゅうの鼻っつまみになっているやつなんですが、こいつが以前からお源に横恋慕をしていて、うぬぼれっ気のあるやつだからてっきり自分が近江屋の婿になれるもンだとひとり合点できめていた」
「ちょっと、おめえに似たようなところがあるな」
「まぜっ返しちゃいけません。……もっとも、桜場のほうでもそううぬぼれていいようなわけがある。というのは、ご存じでもありましょうが、府中の暗闇祭というのは、御神輿の渡御するあいだ、府中の町じゅうひとつの灯火もないようにまっ暗にしてしまう。もったいない話ですが、年々一度のこの大祭がみだらな娘や若い者の目あてなんで、おたがいに顔が知れずにすむところから真暗三宝に乳くりあうという風儀の悪いお祭なんです。お源もその例にもれず行きあたりばったりにちょっと悪戯をしたんですが、運悪くその相手が桜場清六。……こいつはいま言ったようにすれっからしの道楽者で、そんなほうには抜け目のないやつだから、手さぐりでそっとお源の銀の平打ちを引きぬいておいたんです」