Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.527 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

ひょろ松は、それにつづいて、

「阿古十郎さん、あなたのおっしゃることは一応ごもっともですが、まだほかにいけないことがあるんです。……いったい、三人はその晩、蛤汁が出ると、忠助は妹娘のおさよと弟の市造に、このごろ虎列剌が流行っているから、蛤など喰うな、と独言のように三度もくりかえしたというのです。あまりしつっこく言うので二人は気がさして喰うのを差しひかえた。これは、給仕に出ていた女中のかねの口からわかったのですが、こんなはっきりした手証がある以上、こりゃア、のっぴきならねえと思うのですが」

顎十郎は、かぶりを振って、

「そう聞くと、いよいよいけねえの。……虎列剌の大流行のさなかに蛤を喰うなどというのが、そもそも無茶なんだ。細心な男なら誰れだって一応はそのくらいの注意はする。然も、それは、なにも三人だけに限って言ったというわけではなかろう。一座している以上、ほかの三人の耳にも当然はいることだ。けちをつけようと思うなら、一座の中でそんな尻ぬけたことを口走りはしない。ひょッとすると、あとの三人にも怖けづかして喰わせずにしまうかも知れねえじゃねえか。三人まで人を殺そうとたくらむ男のすることじゃない」