Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.674 Zeichen · 36 Bildschirme
湿りかえり、なかには鼻汁をすするやつまでいる。
部屋頭は、手拭いで鼻の頭をこすりながら、
「そんな経緯は知らねえもんですから、腹立ちまぎれにドジだの腰ぬけだのと言いましたが、そういうわけなら、そんなひでえことを言うんじゃなかった」
「聞く通り、いかにもあわれな話だでの、なんとかして助けてやりたいと思っているんだが……」
「へい、へい」
「それについて、どうでも手を借りなけりゃならねえことがあるのだが、どうだ、貸してくれるか」
部屋頭は、臀を浮かせて、
「貸すも貸さねえもありゃしません。……陸尺といや駕籠の虫、見かけはけちな野郎だが、水道の水を飲んだおかげで気が強い。弱い者なら腰をおし、強いやつなら向うっつら。韋駄天が革羽織で鬼鹿毛にのってこようがビクともするんじゃありません。……藤波だか蛆波だか知らねえが、へたに青地を追いおとそうというなら、江戸の役割三百五十六部屋、これにガエンと無宿を総出しにし、南の番所を焼打にかけてしまう」
顎十郎は、長い顎のさきを撫でながら、
「まあまあ、そう意気ごまんでもいい。……おれが頼みたいというのは、そんな大したことじゃない。